WARで振り返る広島カープの歴代ドラフト(2012-19)

>> <<

WARで振り返る広島カープの歴代ドラフト(2012-19)

2012年から2019年までの広島カープのドラフトをWARと共に振り返ります。

その前に、まずWARとは何のことかから話を始めます。

WARは、野球を統計学の観点から見るセイバーメトリクスの指標のひとつです。

打撃・守備・走塁・投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標で、あらゆる選手を同じ土俵で比べることができます

今回はそのWARを用いて、カープのドラフト指名を受けた選手の、プロ入り通算の数字を見ながら振り返ります。

最初に2012年~2019年にカープに指名された選手の通算WARを見てみましょう。

 

 

合計WARが高い指名年で見ると、ここまでの1位は大瀬良大地選手九里亜蓮選手田中広輔選手を指名した2013年で合計WAR54.5。

2位が鈴木誠也選手を指名した2012年で合計WAR32.3。

3位には岡田明丈選手西川龍馬選手を指名した2015年がランクインしました。

 

 

 

2012年:全体WAR 32.3

順位 選手名 守備 学歴 WAR
ドラフト1位 高橋大樹 OF 高卒 -0.1
ドラフト2位 鈴木誠也 OF 高卒 33.2
ドラフト3位 上本崇司 2B 大卒 -0.8
ドラフト4位 下水流昂 OF 社会人 0.5
ドラフト5位 美間優槻 3B 高卒 -0.5
育成1位 辻空 RHP 高卒 0

2012年ドラフトは、本指名を受けた選手が5人とも野手になっています。

当時投手陣が弱かったカープにあって、投手を指名しなかったこの年は批評家から評価が低かった年でした。

WARで振り返ると何といっても鈴木誠也選手を指名できたのが大きかったです

通算WAR33.2と一人で33勝に近い価値を産みだしています。リーグ屈指のプレイヤーは今後更にこの値を伸ばしていくことが予想できます。

しかしドラフトから8年が経ち、1軍に定着している選手が鈴木誠也選手ひとりだけなのはさびしい所です。

高橋大樹選手は1軍と2軍を行ったりきたり、上本崇司選手もバイプレーヤーとして大きく試合に出場しているわけではありません。

美間は2018年に当時ソフトバンクの遊撃手だった曽根海成選手と、下水流選手は2019年に当時楽天だった三好選手とトレードになりました。

 

2013年:全体WAR 54.5

順位 選手名 守備 学歴 WAR
ドラフト1位 大瀬良大地 RHP 大卒 18.2
ドラフト2位 九里亜蓮 RHP 大卒 11.6
ドラフト3位 田中広輔 SS 社会人 23.1
ドラフト4位 西原圭大 RHP 社会人 0.4
ドラフト5位 中村祐太 RHP 高卒 1.2

この年はカープのドラフト史に残る大成功ドラフトになりました。

ドラフト1位の大瀬良投手は怪我で離脱した2016年を除き、コンスタントにWAR2.0以上記録しています。

規定投球回を達成したシーズンもプロ入り6シーズン中4シーズンあり、エースとして活躍しています。

また3年連続ショートでフルイニング出場した田中広輔選手を獲得。通算WARは23.1と、1位の大瀬良投手より高い数値になっています。

2019年シーズンに連続出場記録はストップしましたが、これまでの貢献度を考えると間違いなくカープ史上初の3連覇に大きく貢献した選手です。

さらに九里亜蓮もこの年のドラフト2位で指名しており、ローテーション投手2人と正遊撃手を獲得できた成功ドラフトになりました。

 

2014年:全体WAR 4.4

順位 選手名 守備 学歴 WAR
ドラフト1位 野間峻祥 OF 大卒 1.4
ドラフト2位 薮田和樹 RHP 大卒 2.5
ドラフト3位 塹江敦哉 LHP 高卒 -0.2
ドラフト4位 藤井晧哉 RHP 高卒 0.2
ドラフト5位 桒原樹 SS 高卒 -0.1
ドラフト6位 飯田哲矢 LHP 社会人 0.6
ドラフト7位 多田大輔 C 高卒 0

大成功ドラフトとなった2013年とは一転、2014年ドラフトは外れドラフトになっています。

1位の野間選手はバイプレーヤーとして活躍していますが、レギュラーに定着できずにいます。

2位の薮田投手も2017年に15勝を挙げ、最高勝率のタイトルを獲得していますが、その後は鳴かず飛ばずです。

他の投手で期待ができそうな投手と言えば、個人的には塹江投手を挙げたいです。

左の速球派の彼が今後どのくらい活躍できるかがこの年のドラフトの伸びしろだと思います。

 

2015年:全体WAR 11.9

順位 選手名 守備 学歴 WAR
ドラフト1位 岡田明丈 RHP 大卒 7.2
ドラフト2位 横山弘樹 RHP 社会人 -0.1
ドラフト3位 高橋樹也 LHP 高卒 0.3
ドラフト4位 船越涼太 C 社会人 0
ドラフト5位 西川龍馬 SS 社会人 4.4
ドラフト6位 仲尾次オスカル LHP 社会人 0.1
ドラフト7位 青木陸 1B 高卒 0

岡田明丈投手を単独で入札したのが2015年です。

結果として5年でWAR7.2をマークしており、岡田投手を単独入札したドラフト戦略は成功だったと言って良いでしょう。

2位の横山投手、3位の高橋樹也投手はこれまでの結果としては、1軍の戦力に立っていないことになります。

この年は、西川龍馬選手を5位で指名しています

打撃で貢献してきた西川選手は、2019年に外野手のレギュラーの座を掴んでおり、今後もWARを伸ばしていくことが予想されます。

長打率も年々伸ばしており、今後は中軸を打つ選手として活躍するのではないでしょうか。

 

西川龍馬選手の年度別長打率

2016年 .392

2017年 .417

2018年 .450

2019年 .453(2019年9月15日現在)

 

2016年:全体WAR 5.5

順位 選手名 守備 学歴 WAR
ドラフト1位 加藤拓也 RHP 大卒 0
ドラフト2位 高橋昂也 LHP 高卒 -0.2
ドラフト3位 床田寛樹 LHP 大卒 3.1
ドラフト4位 坂倉将吾 C 高卒 1.3
ドラフト5位 アドゥワ誠 RHP 高卒 1.6
ドラフト6位 長井良太 RHP 高卒 0

田中正義(現ソフトバンク)、佐々木千隼(現ロッテ)のくじを外した後、カープが指名したのが当時慶應大学のエースであった加藤拓也投手です。

慶應からの指名、身長175cmと長身好きのカープにあって異例の指名となりました。ただ現状、一軍に大きく貢献しているわけではありません。

2位は高卒ビッグ4の一角だった高橋昂也投手でした。

2年には先発として数試合登板経験もありますが、2020年はトミージョン手術を受けて療養中でした。

140中盤のストレートとキレのあるスライダー、フォークを投げれる左腕だけにあって、復帰が待たれる投手です。

3位の床田投手は2018年にトミージョン手術で受けたあと、2019年に復帰。

実働2年でWAR3.1以上記録しており、今後も怪我がなければWARを伸ばしていくと予想されます。

4位の坂倉選手は出てくるのに時間がかかる捕手ながら、高卒4年目の昨シーズンブレイクしました。

今後が楽しみな選手ですね。

現在、この年のドラフトで最もWARが高いのがアドゥワ投手の1.6になっています。球速も年々速くなっており、今後も伸びていくと期待しています。

 

2017年:全体WAR 4.0

順位 選手名 守備 学歴 WAR
ドラフト1位 中村奨成 C 高卒 -0.1
ドラフト2位 山口翔 RHP 高卒 0
ドラフト3位 ケムナ誠 RHP 大卒 1.4
ドラフト4位 永井敦士 OF 高卒 0
ドラフト5位 遠藤淳志 RHP 高卒 2.6
ドラフト6位 平岡敬人 RHP 大卒 0
育成1位 岡林飛翔 RHP 高卒 0
育成2位 藤井黎來 RHP 高卒 0.1
育成3位 佐々木健 RHP 高卒 0

甲子園のスター選手であった広陵高校の中村奨成選手を、中日と競合の末くじを引きあてたのが2017年ドラフトです。

鳴り物入りの入団でしたが、ここまではチームの勝利に貢献できていません

一軍で活躍しているのは高卒3年目の遠藤投手です。

3年目ながら一軍で53試合登板経験のある投手で、昨シーズンは1軍で5勝をマーク。

今後もローテーション投手としてチームを支えてくれるであろう投手ですね。

 

2018年:全体WAR 1.2

順位 選手名 守備 学歴 WAR
ドラフト1位 小園海斗 SS 高卒 -0.5
ドラフト2位 島内颯太郎 RHP 大卒 1.8
ドラフト3位 林晃汰 3B 高卒 -0.2
ドラフト4位 中神拓都 SS 高卒 0
ドラフト5位 田中法彦 RHP 高卒 0
ドラフト6位 正隨優弥 OF 大卒 0.1
ドラフト7位 羽月隆太郎 SS 高卒 -0.3
育成1位 大盛穂 OF 大卒 0.3

 

高卒ビッグ3」の一人と称された小園海斗選手を競合の末、獲得した2018年ドラフト。

小園選手はここまでWAR-0.5と苦戦しています。

小園選手はドラフト当時から応援している選手なので、何とかプロで飯を食えるようになってほしいです。

ドラフト2位の島内投手はここまでWAR1.8を稼いでいます。1年目は二軍がメインでしたが、昨年プチブレイク。

順調に成長していますね。

 

2019年:全体WAR 4.1

順位 選手名 守備 学歴 WAR
ドラフト1位 森下暢仁 RHP 大卒 4.2
ドラフト2位 宇草孔基 OF 大卒 -0.1
ドラフト3位 鈴木寛人 RHP 高卒 0
ドラフト4位 韮沢雄也 SS 高卒 0
ドラフト5位 石原貴規 C 大卒 0
ドラフト6位 玉村昇悟 LHP 高卒 0
育成1位 持丸泰輝 C 高卒 0
育成2位 木下元秀 OF 高卒 0
育成3位 畝章真 RHP 独立 0

 

ドラフトの目玉の一人だった森下暢仁投手を単独で指名したのがこの年です。

森下投手はまだ1年しかプロで投げていませんが、その1年だけでWAR4.2を稼ぐ剛腕ぷり。

もはやルーキーにしてエースの投球でしたね。

他にも宇草選手や玉村投手など期待している選手はいますが、森下投手を獲得できただけでも大成功ドラフトと言えそうですね。

 

 

関連記事

広島県総合グランド野球場から振り返る広島カープの黎明期

2020年4月27日

【ドラフト評価】WARで振り返る2013年ドラフト

2017年12月30日

【ドラフト評価】WARで振り返る2014年ドラフト

2019年8月25日

【ドラフト評価】WARで振り返る2015年ドラフト

2020年1月11日
>> <<

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。