WARで振り返る2013年ドラフト
今回は2013年のドラフトをWARで振り返ります。
WARは「そのポジションの代替可能選手(Replacement)に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」を表す指標です。
下の図は1シーズンのWARの評価基準です。
今回は2013年ドラフトで指名された選手の、2014年~2020年までの7年間のWARの合計値(通算WAR)を見ていきながら振り返ります。
12球団の2013年ドラフトを振り返る
巨人
全体WARは18.7。
ドラフト1位で指名された小林選手は通算WAR2.8とここまで期待外れに終わっています。
しかしドラフト3位の田口選手は、通算WAR12.2をマーク。これは、この年のドラフト全体9位の数値です。
この年、巨人が指名した5人のうち3人はFA補償やトレード他球団へ移籍しています。
そのうちDeNAへ移籍した平良投手は、2020シーズン大活躍しました。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 小林誠司 | C | 社会人 | 2.8 | |
ドラフト2位 | 和田恋 | IF | 高卒 | -0.5 | 楽天へトレード |
ドラフト3位 | 田口麗斗 | LHP | 高卒 | 12.2 | |
ドラフト4位 | 奥村展征 | IF | 高卒 | -1 | ヤクルトへ移籍 |
ドラフト5位 | 平良拳太郎 | RHP | 高卒 | 5.2 | DeNAへ移籍 |
楽天
2013年ドラフトの目玉投手だった松井裕樹を獲得した楽天。全体WAR21.4で、そのうちほとんどを松井投手が一人で稼ぐ形になっています。
前評判に劣らない活躍をしている松井とは反対に、ドラフト2位以下の選手は1軍定着できず、ほとんどが退団するかや他球団へ移籍しています。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 松井裕樹 | LHP | 高卒 | 17.3 | |
ドラフト2位 | 内田靖人 | C | 高卒 | -1.6 | |
ドラフト3位 | 濱矢廣大 | RHP | 社会人 | 0.3 | 退団 |
ドラフト4位 | 古川侑利 | RHP | 高卒 | 3.2 | 巨人へトレード |
ドラフト5位 | 西宮悠介 | LHP | 大卒 | 2.2 | 退団 |
ドラフト6位 | 横山貴明 | RHP | 大卒 | -0.9 | 退団 |
ドラフト7位 | 相原和友 | P | 社会人 | 0.1 | 退団 |
ドラフト8位 | 相沢晋 | P | 社会人 | -0.1 | 退団 |
ドラフト9位 | 今野龍太 | P | 高卒 | 0.9 | ヤクルトへ移籍 |
阪神
全体WARは29.4。
ドラフト1位の岩貞投手はもちろん、ドラフト4位の梅野投手も正捕手として定着。
ドラフト6位で指名した岩崎投手もセットアッパーとして1軍で活躍しています。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 岩貞祐太 | LHP | 大卒 | 10.1 | |
ドラフト2位 | 横田慎太郎 | OF | 高卒 | -1.2 | 退団 |
ドラフト3位 | 陽川尚将 | IF | 大卒 | 1 | |
ドラフト4位 | 梅野 隆太郎 | C | 大卒 | 9.9 | |
ドラフト5位 | 山本 翔也 | P | 社会人 | -0.1 | 退団 |
ドラフト6位 | 岩崎 優 | LHP | 大卒 | 9.7 |
西武
森友哉選手と山川穂高選手と2人のオールスター選手をこの年獲得した西武。
通算WARは12球団で2位となる33.9をマークしています。
森友哉選手は25歳にしてWAR19.2と大活躍、まだまだ数値が伸びていくことが予想されます。
パリーグの本塁打王を2度受賞した山川穂高選手もこの年のドラフト2位。通算WARは13.1は、この年のドラフト全体7位の数値です。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 森 友哉 | C | 高卒 | 19.2 | |
ドラフト2位 | 山川 穂高 | 3B | 大卒 | 13.1 | |
ドラフト3位 | 豊田 拓矢 | P | 社会人 | 0.2 | 退団 |
ドラフト4位 | 金子 一輝 | IF | 高卒 | 0.1 | 退団 |
ドラフト5位 | 山口 嵩之 | P | 社会人 | 0 | 退団 |
ドラフト6位 | 岡田 雅利 | C | 社会人 | 1.5 | |
ドラフト7位 | 福倉 健太郎 | P | 大卒 | -0.2 | 退団 |
広島
現在12球団ダントツのWAR54.5を稼ぐ広島。
ショートストップのレギュラー、ローテーション投手2人を獲得した年になりました。
2016~2018年、セリーグ3連覇をしたカープの土台となったドラフトになりました。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 大瀬良 大地 | RHP | 大卒 | 18.2 | |
ドラフト2位 | 九里 亜蓮 | RHP | 大卒 | 11.6 | |
ドラフト3位 | 田中 広輔 | SS | 社会人 | 23.1 | |
ドラフト4位 | 西原 圭大 | RHP | 社会人 | 0.4 | 退団 |
ドラフト5位 | 中村 祐太 | RHP | 高卒 | 1.2 |
ロッテ
ロッテの全体WAR33.3は12球団で3番目に高い数字です。
石川選手と二木選手。二人のローテーションを指名できたのは大きいですね。
またチームの主軸である井上選手もこの年のドラフト5位で指名しています。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 石川 歩 | RHP | 大卒 | 18.5 | |
ドラフト2位 | 吉田 裕太 | C | 高卒 | -1.1 | |
ドラフト3位 | 三木 亮 | SS | 大卒 | -2.3 | |
ドラフト4位 | 吉原 正平 | P | 社会人 | -0.6 | 退団 |
ドラフト5位 | 井上 晴哉 | 1B | 社会人 | 6.5 | |
ドラフト6位 | 二木 康太 | RHP | 高卒 | 12.3 |
中日
チーム全体WAR13.4は、下から4番目の高さです。
1位で指名した鈴木翔太投手が1軍で定着できず、チームの勝利に貢献できなかったのが響きました。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 鈴木 翔太 | RHP | 高卒 | -0.2 | 退団 |
ドラフト2位 | 又吉 克樹 | RHP | 独立 | 9 | |
ドラフト3位 | 桂 依央利 | C | 大卒 | 0.2 | |
ドラフト4位 | 阿知羅 拓馬 | RHP | 社会人 | -1.1 | |
ドラフト5位 | 祖父江 大輔 | RHP | 社会人 | 5.5 | |
ドラフト6位 | 藤澤 拓斗 | IF | 社会人 | 0 | 退団 |
ソフトバンク
通算WAR23.5と、12球団で5位につけているソフトバンク。
中継ぎで活躍している加治屋投手はこの年のドラフト1位の選手。
また7年連続50試合登板の森や外野手の上林選手などを獲得しています。
森選手の通算WAR13.2は、指名された選手の中で全体6位の高さです。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 加治屋 蓮 | RHP | 社会人 | 1.5 | |
ドラフト2位 | 森 唯斗 | RHP | 社会人 | 13.2 | |
ドラフト3位 | 岡本 健 | RHP | 社会人 | 1.1 | 退団 |
ドラフト4位 | 上林 誠知 | OF | 高卒 | 7.7 |
DeNA
この年のDeNAのドラフトは、現在12球団で最小のWAR7.9になっています。
DeNAになってからドラフト巧者なイメージを抱いていたので、この結果は意外ですね。
外れ1位指名で3球団競合を受けた柿田投手が、活躍することなくに退団した影響が大きかったです。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 柿田 裕太 | RHP | 社会人 | 0 | 退団 |
ドラフト2位 | 平田 真吾 | RHP | 社会人 | 2.4 | |
ドラフト3位 | 嶺井 博希 | C | 大卒 | 1.1 | |
ドラフト4位 | 三上 朋也 | RHP | 社会人 | 5.3 | |
ドラフト5位 | 関根 大気 | OF | 高卒 | -0.9 | |
ドラフト6位 | 山下 峻 | RHP | 大卒 | 0 | 退団 |
オリックス
ドラフト直後、評価が高かったオリックスのドラフト。
しかしチーム全体のWARはDeNAに続く下から2番目の10.7になっています。
目玉の一人だった吉田一将投手ですが、WAR4.5とチームの勝利に大きく貢献できていないのが響いていますね。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 吉田 一将 | RHP | 社会人 | 4.5 | |
ドラフト2位 | 東明 大貴 | RHP | 大卒 | 4.7 | 退団 |
ドラフト3位 | 若月 健矢 | C | 高卒 | 1.1 | |
ドラフト4位 | 園部 聡 | IF | 高卒 | -0.2 | 退団 |
ドラフト5位 | 吉田 雄人 | OF | 高卒 | -0.5 | 退団 |
ドラフト6位 | 奥浪 鏡 | IF | 高卒 | -0.1 | 退団 |
ドラフト7位 | 柴田 健斗 | RHP | 独立 | 0 | 退団 |
ドラフト8位 | 大山 暁史 | RHP | 社会人 | 1.2 | 退団 |
ヤクルト
チームの全体WARは12.9で、下から3番目のヤクルトのこの年のドラフト。
チームの稼ぎ頭である秋吉投手(WAR:9.4)は、2018年のオフに日ハムへトレードで移籍しています。
秋吉投手に次いでWARの数値が高い杉浦投手もトレードで日ハムに移籍しています。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 杉浦 稔大 | RHP | 大卒 | 4.3 | 日ハムへ移籍 |
ドラフト2位 | 西浦 直亨 | SS | 大卒 | 1.1 | |
ドラフト3位 | 秋吉 亮 | RHP | 社会人 | 9.4 | 日ハムへ移籍 |
ドラフト4位 | 岩橋 慶侍 | RHP | 大卒 | 0.2 | 退団 |
ドラフト5位 | 児山 祐斗 | RHP | 高卒 | 0 | 退団 |
ドラフト6位 | 藤井 亮太 | C | 社会人 | -2.1 | 退団 |
日ハム
2016年新人王高梨を筆頭に、1軍で活躍した選手が多い2013年の日ハムドラフト。
しかし、レギュラーに定着しきれなかった選手が多く、全体WARは15.8と伸び悩んでいます。
渡邉選手がどのくらい今後活躍できるかにかかっていますね。
順位 | 選手名 | 守備 | 学歴 | WAR | 補足 |
---|---|---|---|---|---|
ドラフト1位 | 渡邉 諒 | SS | 高卒 | 2.2 | |
ドラフト2位 | 浦野 博司 | RHP | 社会人 | 2.8 | |
ドラフト3位 | 岡 大海 | OF | 大卒 | 2.5 | 2018年にロッテへ移籍 |
ドラフト4位 | 高梨 裕稔 | RHP | 大卒 | 7.9 | 2018年にヤクルトへ移籍 |
ドラフト5位 | 金平 将至 | RHP | 社会人 | -0.2 | 退団 |
ドラフト6位 | 白村 明弘 | RHP | 大卒 | 1.5 | 退団 |
ドラフト7位 | 岸里 亮佑 | OF | 高卒 | -0.3 | 退団 |
ドラフト8位 | 石川 亮 | C | 高卒 | -0.6 |
下の図は、2014年~2020年までの7年間で各球団で積み上げたWARをまとめたもの。
2013年ドラフトで一番WARを稼いでいる選手は誰か
選手別の通算WARの順位は以下の通り。
1位の田中広輔選手・4位の大瀬良大地投手とも広島カープの選手。
田中選手は2013年ドラフトで唯一通算WAR20の大台に載っています。
カープがこの年ドラフト2位で指名した九里亜蓮投手も、通算WAR全体10位にランクインしています。
2019年パリーグ首位打者の森友哉選手は、2019年だけでWAR7.8を稼いで2位にランクアップしています。
西武の山川穂高選手も通算WAR全体7位に入っています。
3位はロッテの石川歩投手で通算WARは18.5。
5位はこの年の目玉選手だった楽天の松井裕樹投手で通算WAR17.3でした。
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