丸佳浩はいつ「受け型回転」から「突っ張り型回転」になったのか

丸佳宏はいつ「受け型回転」から「突っ張り型回転」になったのか

カープの不動の3番バッターである丸佳浩

2007年高校生ドラフト3巡目で指名を受けた彼は、2013年に盗塁王を獲得し、それ以降ベストナイン2回・ゴールデングラブ賞4回受賞するなど、今やセリーグを代表する外野手の一人になっています。

今回はそんな彼のメカニクスの変化について書いていきます。

2種類の上半身と下半身の回転法

今回は安藤秀さんの『野球に革命を起こすバッティング理論』(現代書林)の内容を参考にして記事を書いています。

この本では、上半身と下半身の回転の仕方は主に「突っ張り型回転」と「受け型回転」の二通りの組み合わせがあると紹介されています。

突っ張り型回転」とは、スイングスタートポジションから、着地した左足(右打者の場合)をダウンスイングの初期段階で伸ばすことで、上半身が右から左へ移動する力を回転力に変える回転方法です。

一方、「受け型回転」とはトップオブスイングから左足の着地とともに上体を左足に移しながら、左足の上で腰を回し上体を回転させる方法です。

画像は『野球に革命を起こすバッティング理論』(安藤秀著  現代書林 2013年)から引用

多くのロングヒッターはよりボールを遠くへ飛ばせるため「引っ張り型回転」を採用しています。

一方、多くアベレージヒッターは打ったあとすぐ走る動作に移れる「受け型回転」を利用して打っています

広島カープの選手を例に挙げると、鈴木誠也は「突っ張り型回転」で田中広輔は「受け型回転」を利用して打っています。

【鈴木誠也の「突っ張り型回転」】

投手側へ移動しようとする上半身を左脚が受け止め、右脚の上に押し返すような反動が生じた瞬間に右脚の内側の筋肉の力で腰を回し、体を回転させています。

【田中広輔の「受け型回転」】

上半身が投手側へ移動する力を右脚の力で回転力に変えてパワーを出しています。

丸佳宏はいつ「受け型回転」から「突っ張り型回転」になったのか

さて前書きが長くなりましたが、丸佳浩のメカニクスを見ていきましょう。

現在丸佳浩のメカニクスを「受け型回転」か「突っ張り型回転」かで表現するなら、「突っ張り型回転」です。

もう少し内股が寄合うようになるとなお良いと思います。

そんな丸佳浩ですが、入団当初は「受け型回転」でした。この頃からトップを深い位置で作っていることに関心します。

【2009年 丸佳浩】

では一体いつ丸佳浩は「受け型回転」から「突っ張り型回転」に変わったのか。これが今回のタイトルです。

結論を先に言わせてもらうと、2015年から2016年にかけてが一つのターニングポイントだったと考えています。

動画で確認していきましょう。内股に注目して見てください。

まずは2015年の丸佳浩のバッティングフォームです。

【2015年 丸佳浩】

そして次に2016年の丸佳浩のバッティングフォームがこちらです。

【2016年 丸佳浩】

2015年のフォームは内股が寄合っていない(くっついていない)のに対し、2016年のフォームでは内股が寄合っていることがお分かりでしょうか。

「突っ張り型回転」では内股が寄合っていないのは重大なミスですが、「受け型回転」ではこのことは特に問題がありません。

2015年のフォームは「受け型回転」とみていいでしょう。一方、2016年のフォームは「突っ張り型回転」ですね。

数字からも見てみましょう。

年度/本塁打数/長打率
2013年/14本/.425
2014年/19本/.491
2015年/19本/.413
2016年/20本/.481
2017年/17本/.540

2016年にはキャリア初の20本の大台に乗り、今年はそれを上回るペースで本塁打を量産しています。そして今年は長打率も.500台に乗りそうです。

「受け型回転」から「突っ張り型回転」に変えることで、今後丸佳浩は中距離砲としてではなくパワーヒッターとしてキャリアを積んでいくのではないでしょうか。

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