wOBAにパークファクターをかけてみた

wOBA (Weighted On-Base Average) は打者の攻撃力を測る指標であり、安打や四球など出塁を伴う要素に得点価値を加重して算出されています。計算式は以下のようになっています。

wOBA (NPB) = {0.69×(四球-敬遠)+0.73×死球+0.92×失策出塁+0.87×単打+1.29×二塁打+1.74×三塁打+2.07×本塁打}÷(打数 + 四球 – 敬遠 + 犠飛 + 死球)

今回はそのwOBAに直接パークファクターをかけるという実験的なことをします。何故このようなことをするかと言いますと、wRC+を算出するときwRCそれ自体にPFをかけているので、四球や単打を余分に評価していると思われるからです。

対象となるのは、2017年の大和選手(阪神)と倉本選手(DeNA)の成績です。大和選手はDeNAに移籍しましたね…今回は2017年の成績なので、大和選手は阪神甲子園球場、倉本選手は横浜スタジアムのPFを用います。

阪神甲子園球場と横浜スタジアムのPFは以下のようになっています。データは「日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめblog」より。

 本塁打PF単打PF二塁打PF三塁打PF四死球PF
阪神甲子園球場
0.630.920.811.230.95
横浜スタジアム1.291.011.120.910.97

さてこのPFを直接wOBAの計算式にかけてみよう!ということにはなりません。何故なら、全ての試合を本拠地で行うわけではないからです。本拠地での試合の割合などにも考慮して、PFがどのくらい成績に跳ね返るか補正しなくてはいけません。計算式は以下のようになります。

補正係数=PF×(本拠地試合数÷試合数)+(チーム数-PF)÷(チーム数-1)×(他球団試合数÷試合数)

この計算式は「パークファクター baseballconcrete」を参考にしました。その補正係数が下の図になります。

補正係数本塁打単打二塁打三塁打四死球
大和0.838680.992380.934081.156681.00828
倉本1.1147830.9757621.0303780.9261120.955902

いよいよ終盤になってきました。先ほど算出したPFの補正係数の逆数をwOBAにかけていきます。計算式は以下のようにしました。

wOBA={(0.69×(四球-敬遠)+0.73×死球)×四死球PF+0.87×単打×単打PF+1.29×二塁打×二塁打PF+1.74×三塁打×三塁打PF+2.07×本塁打×本塁打PF}÷(打数+四球-敬遠+犠飛+死球)

計算式に出ているPFは補正係数の逆数です。計算結果がこちらです。

wOBA 
大和0.294501
倉本0.277885

これだけだとサンプル不足なので、同様のことを過去3年間やります。それが下の図になります。

今回のwOBA大和倉本
2015年0.2303350.20571
2016年0.2613570.306409
2017年0.2945010.277885

基準が分からないのでなんとも言えませんが、これでwRC+が孕んでいる四球や単打を余分に評価している問題は解消されているはずです。ただ今回のwOBAではパークファクターを用いたため「リーグの平均的な打者」という概念がなくなります。そのため、wOBAのもつ得点単位で打者を評価するという特長が活かせないなと感じました。

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