NBAを見ていると、たまにUSG%(Usage Rate)という指標が出てきます。
これって一体どういう指標なの?
と気になったので調べました。
NBAでよく見るUSG%(Usage Rate)ってどんな指標なの?
USG%は、該当選手がコート上にいる時に、チームがどれだけ該当選手を使ってプレーしたか推定するための指標です。
計算式は以下のようになります。
USG%の計算式
100* { (該当選手のFG試投数)+ 0.44*(該当選手のフリースロー試投数)+(
該当選手のターンオーバー数)*(チーム全体の選手の合計出場時間)}
/
{ (チームの合計FG試投数) + 0.44*(チームの合計フリースロー試投数)+チームの合計ターンオーバー数)}*5* (該当選手の出場時間)
と、計算式まで見たところで、やっぱり疑問点が何か所かありますよね。
まず1つ目。USG%の定義に、「チームがどれだけ該当選手を使ってプレーしたか」と書いてありますが、ここで使うとはどういう意味でしょうか。
実際に、例を出して説明していきたいと思います。
2018-19シーズンでUSG%が最も高かったのは、ヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデン選手で39.6%でした。
この39.6%がどういう意味かというと、チーム全体のプレーのうち、39.6%のプレーがシュートを打つか、ターンオーバーになるか、フリースローをもらうかして、ハーデン選手で終わったことを意味しています。
チームの攻撃起点になればなるほど、USG%は高くなりますが、それはチームがその選手を攻撃起点として任せているということが分かるだけで、その選手が優秀かどうかまではこの指標ではわかりません。
そして2つ目。このUSG%、何が重要なのでしょうか。
それはこのUSG%が、チームにおけるオフェンス面でのエースが誰なのかを数字で表している点です。
このUSG%が高ければ高いほど、チーム全体の攻撃に占める負担が大きくなります。そして、USG%が一番高い選手が、チームのオフェンス面でのエースと言えるでしょう。
USG%とオフェンシブレーティングはトレードオフの関係
このUSG%を調整し、オフェンシブレーティング(OFFRTG)を変えることによって、チームは最適な攻撃出力を達成することができるようになります。
ちなみに、このUSG%とオフェンシブレーティングはトレードオフの関係にあります。
トレードオフとは、何かを達成するために別の何かを犠牲にしなければならない関係のことです。高いオフェンシブレーティングを得るためには、USG%を下げる必要があるのです。
例を挙げます。下の表は、stas.nba.comから引用したものですが、2020年1月17日現在、USG%がトップの選手はジェームズ・ハーデン選手(HOU)です。
その下にはアデトクンボ選手やルカ・ドンチッチ選手、トレイ・ヤング選手と続き、チームの中心選手として、プレーの起点になることが多い選手が並びます。
一方、オフェンシブレーティングのトップ10なのですが、あまり知らない(というかほとんど知らない)選手が並びます。
一番右のUSG%も10%台が多く、あまりチームのプレーの起点になることは少ないみたいです。
つまり、USG%が上がるということは、オフェンシブレーティングが下がることを意味しているのです。
参考文献
NBAStuffer -Usage Rate- (2020年1月17日閲覧)
RotoGrinders – What is Usage Rate- (2020年1月17日閲覧)
NBA.com -NBA Advanced Stats-(2020年1月17日閲覧)
宮地陽子のスタッツ四方山話・第16回 エースは誰だ?~ユーセージ%(USG%)の誤解