マリンのホームランテラス増設
7月16日にスポーツ報知が、ZOZOマリンスタジアムにホームランテラスを設置するという記事を掲載した。
ロッテが本拠地・ZOZOマリンスタジアムに既存の外野フェンス前に新シート「ホームランテラス席」を設置する計画があることが15日、分かった。球場の所有元である千葉市にはすでに打診済みという。今季終了後に大規模改修を行い、来季から導入する方向で調整されている。引用:【ロッテ】本塁打“増増”ZOZOマリン計画 テラス席設置で外野5メートル狭くなる!?
ホームランテラスの設置というロッテの試みは、果たしてどのような効果があるのだろうか。検証してみた。
ロッテの課題
まずロッテの課題から見て行く。下の図1は、過去10年のロッテのチームOPSとリーグ平均OPSの比較した図である。直近6年はリーグ平均を下回る結果になっている。10年間でリーグ平均より上回ったシーズンは2回だけ。ロッテはチーム全体で打撃が課題となっていることがわかる。
(図1)ロッテのチームOPSとリーグ平均OPSの年度別成績
マリンスタジアムに移転してから27年間で、ロッテのチームOPSがリーグ平均OPSを上回ったのはわずか7回。(図2)マリンに移転してから唯一優勝した2005年を見ると、チームOPSはリーグ平均を大きく上回っている。優勝を狙うにはやはりリーグ平均以上の打線を作らなければならない。そうなると多くのシーズンをリーグ以下の打撃をしている現状だと優勝は厳しいと言わざるおえない。
(図2)ロッテのチームOPSとリーグ平均OPSの年度別成績②
なぜロッテの打者は打撃成績が悪いのか
ではなぜロッテの打者は打撃成績が悪いのだろうか。その理由のひとつにマリンスタジアムがピッチャーズパークだということが考えられる。ピッチャーズパークとは投手有利の球場を指す。マリンは海岸沿いに建設されており、外野から強い浜風が流れ込んでいる。観に行った試合の中では、風速14mという試合もあった。そんな逆風を相手にしないといけないので野手も大変である。
マリンスタジアムがピッチャーズパークという事実は、本塁打パークファクターからも見て取れる。本塁打パークファクターは、ある球場が他の球場と比べてどのくらい本塁打が出やすいかを表した指標である。計算式は以下の通りである。
本塁打パークファクター={(本拠地球場での本塁打+本拠地球場での被本塁打)/本拠地球場での試合数}/{(他球場での本塁打+他球場での被本塁打)/他球場での試合数}
マリンスタジアムの本塁打パークファクターを見ると、毎年平均(平均値は1である)を下回っており、本塁打が出にくい球場だということが分かる。
(図3)マリンスタジアムの本塁打PF
2005年にリーグ優勝をしてから優勝が遠ざかっているロッテ。近年はAクラスに入っても、優勝争いに絡めないシーズンが続いている。(図4)現状のままでは今後も優勝できないと私も考えていた。そういう状況のなか、今回のホームランテラスの設置は現状を打開する良い策だと私は考えている。ホームランテラスを設置することで本塁打が増加し、チーム全体の打撃力も向上することが予想される。
(図4)ロッテのリーグ順位
ホームランテラス増設におけるメリット・デメリット
ホームランテラス増設におけるメリット・デメリットをまとめると以下のようになる。
メリット
・チームの本塁打数の増加
・ホームラン打者(長距離砲)育成の向上
デメリット
・投手陣の防御率等の悪化
・被本塁打の増加
メリットとしてはチームの本塁打数の増加が挙げられる。またロッテが課題としていたホームラン打者の育成もよりしやすくなると私は考えている。デメリットとしては、投手陣の防御率の悪化が挙げられる。ピッチャーズパークの恩恵を受けていた投手陣は、更なる進化をしなければ抑えられなくなるはずである。スカウティングも従来のまとまりのある投手からボールに力のある投手を集めるよう変化しなければいけないだろう。
しかし私はこれもデメリットとは考えていない。球場が狭くなることで、より質の良い投手が求められるようになる。中長期的に見れば、投手陣の質も向上するのではないだろうか。投手と打者それぞれで質が高くなることで、ロッテは優勝に近づくはずである。
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