広島カープの2018年シーズン前半戦を振り返る

はじめに

広島カープは前半戦を43勝32敗と大きく勝ち越しました。3年連続5ゲーム差以上の首位ターンは、プロ野球史上初らしいです。うーん、強いですね!オールスターが終わると後半戦が始まるので、その前に広島カープの前半戦を振り返ろうと思います。

用語解説

振り返るにあたり、いくつか複雑な指標を使っています。そこでまず使用する指標の用語説明からしたいと思います。分かっているよという方は、ここを飛ばしてください。

OPS(On-base Plus Slugging)

まずはOPSから。MLBでは当たり前のように実況が紹介します。NPBでも市民権を得始めている気がします。OPSは打席あたりの総合的な打撃貢献度を表す指標です。数値が高いほど、打席あたりでチームの得点増に貢献する打撃をしている打者だと評価することができます。出塁率長打率の和によって簡単に求めることができ、しかも得点との相関関係が非常に強いことからセイバーメトリクスでは重用されています。平均は.730前後です。(参照 図1)

(図1)

wRC+(Weighted  Runs Created Plus)

次にwRC+の説明をしたいと思います。これは少し複雑な指標ですが、リーグ平均から打者を比較する時に非常に便利な指標です。

具体的に言うと、wRC+は打席あたりの得点創出の多さを平均的な打者を100とした場合のパーセンテージで評価する指標です。球場による影響(パークファクター)に対する補正を行っているため、環境に対して中立的に打者の得点創出能力を評価するのに適しています。

ここで得点創出って何なのと疑問に思われるかもしれません。実は二塁打や本塁打、四球や単打の価値は決まっていて、打者の打撃成績からこの価値を掛けて得点創出を計算しています

wRC+が130であればリーグの平均的な打者の1.3倍の効率で得点を生産する打者であるといえます。

K%

K%は投手を分析するときに用いられる指標で、対戦打席のうちの三振の割合のことを指します。K%が高いほど三振を多く奪う投球をしていることを意味しています。平均は18%前後です。

BB%

BB%も投手を分析するときに用いられる指標で、対戦打席のうちの四球の割合のことを指します。低いほど四球を与えない投球をしていることを意味しています。平均は8%前後です。

WHIP

最後にWHIPの説明をして終わりたいと思います。WHIPはイニングあたりに平均してどれだけ出塁を許したかを表す指標です。1.20~1.40程度が平均的で、値が低いほど出塁を許さず安全な投球をしていると評価することができます。それでは用語解説も終わったので、カープの前半戦を振り返っていきましょう。

3・4月 17勝10敗

打撃成績

タナ・キク・丸の同世代トリオが、今年もチームの開幕ダッシュに大きく貢献しました。特に丸は一人で、wRC+188とリーグ平均並みの打者1.9人分の働きをしました。また會澤も好調で、3・4月の月間打率は4割越え。丸に次ぐwRC+になりました。

鈴木誠也が開幕後すぐ故障で二軍に落ちましたが、他のメンバーでカバーしましたね。普通ならリーグ屈指の打者の埋め合わせなんて簡単ではないのですが、選手層の厚さでカバーできました。

安部・西川は開幕から不振に苦しみましたね。サードは安部・西川・美間・メヒアと粒ぞろいの選手がたくさんいたのでまさか穴にはならないだろうと思っていました。この結果は予想外でした。

投手成績

シーズン開幕当初、カードの頭は野村と薮田でした。畝投手コーチは、この二人にローテの柱として投げてくれることを期待していたと思います。しかし、結果は二人とも大コケ。シーズン序盤からローテ再編を余儀なくされました。

先発陣を再編しているとき、中継ぎ陣が本当によく頑張ったと思います。3・4月は防御率がほぼ全員2点台以下の成績。アドゥワが予想以上の活躍をしてくれました。

昨年あまり投げれなかったジョンソンが、今シーズンはいることも大きかったですね。ジョンソン・大瀬良・岡田をローテの核に、中村祐太が頑張ってくれました。結果、3・4月の月間勝敗が17勝10敗と昨年以上のスタートダッシュを収めることに成功しました。

5月 11勝9敗

打撃成績

4月爆発的な働きをした丸がまさかの故障で離脱。試合中のプレーなので仕方がないですが、丸に加え菊池・バティスタの不調。安部もなかなか調子が上がらないというハードな時期でした。

不幸中の幸いと言いますか、丸と入れ替わるような形で鈴木誠也が復帰したのは大きかったです。月間OPS1.066、wRC+182は流石リーグを代表する打者だなという成績です。そして何といっても5月は野間でしょう!月間打率.380、月間OPS.957は予想以上の働きでした。今シーズンは昨年までと比べると、明らかにスイングスピードが速くなっていますよね。努力の跡が垣間見えて、うれしいです。

また打撃陣に不調な選手が多い時期でしたが、會澤・松山・田中の中堅陣がしっかりとした働きをしてくれました。

投手成績

5月は野村・薮田が二軍に降格し、空いたローテ2枠に誰が入るかという時期でした。そんな先行きが不透明な時期に、月間MVPを受賞した大瀬良の活躍は見事だったと思います。また育成契約だったフランスアと支配下契約をしたのも5月でした。初登板は辛い結果になってしまいましたが、150km/hを連発できるポテンシャルの高さには目を惹きました。

ヘロニモ・フランスア(24)身長/体重 186cm/110kg 投打/左左

フランスアは、2014年秋に広島カープに練習生として来日しました。実はバティスタやメヒアより日本にいる期間は長いんです。長い下積み期間を経て、2018年3月に育成契約を結びました。そして5月晴れて支配下契約を勝ち取り、6月には初勝利も記録しています。

野間峻祥(25) 身長/体重 180cm/83kg 投打/右左

ドラフト1位で入団し、期待され続けていた才能がいよいよ開花しました。今年は昨年よりスイングが力強くなっていると思います。左股関節の内旋も鋭くなっていて良いですね。後半戦の活躍も期待しています。

6月 12勝11敗

打撃成績

6月の打撃陣は全体的に好調でした。丸が怪我から復帰し、ようやく丸と鈴木のクリーンアップが揃いました。丸・鈴木・松山のクリーンアップは3人とも月間OPS1.000越え。6月は本当にとんでもなかったです!そのうえ、バティスタがOPS1.458、會澤がOPS.931と強打者ぞろいの打線が形成できました。西川も二軍から上がってきたあとは好調を維持してくれました。

不満があるとすれば、菊池を2番で起用しつづけたことでしょうか。菊池の代わりはいませんが、上位で使い続けるほどの打撃はしていなかったと思います。打率も.205でwRC+はなんと32(wRC+は基準が100の指標なので、単純に考えると-1.7倍の戦力ダウンということに..)観た試合では、胸と腰の捻転差も上手くできていませんでした。

投手成績

交流戦では7勝11敗と大きく負け越しました。原因は投手陣の不振。交流戦のチーム防御率は5.60と大きく落ち込みました。野村・薮田は2軍で調整中で、ジョンソンが奥さんの出産を立ち会うため一時帰国。実績のある投手陣が次々と離脱し、かなり厳しい状況でした。

そんな投手状況のなか、フランスア高橋昂也がプロ初勝利を挙げたことは好材料だと思います。二人ともカープの補強ポイントと言われるサウスポーの投手で、今後が楽しみな選手です。

高橋昂也(19)身長/体重 180cm/87kg 投打/左左

2016年ドラフト2位で入団した広島カープのトッププロスペクト。140km/h中盤のストレートにキレのあるフォーク、カッターを投げ分けます。カーブで緩急をつける投球も出来ます。コントロールも良いなあと思って私は観ています。5回くらいでよくバテているので、スタミナは今後の課題になりそうです。

広島カープ、プロスペクトランキング(2018)

2018.03.08

7月 3勝2敗

打撃成績

雨天中止が嵩む中、7月は5試合が消化しました。丸が5試合で4HRと大活躍でした。

投手成績

ジョンソン、野村が戻り大分ローテーションが安定しましたね。今村が二軍に降格し、ジャクソンも不調で、中継ぎの再編が今後の課題になりそうです。

前半戦MVP

打撃 丸佳宏

58試合 打率.330 17本 40打点 長打率.660 出塁率.498 OPS 1.158 wRC+ 208  WAR 4.2

前半戦MVPはこの人しかいないでしょう。丸佳宏選手。まさか昨年のシーズンMVP選手が更に進化して戻ってくるとは想像していなかったです。前半戦だけで17ホーマー、wRC+はなんと200越え。単純に考えるとリーグ平均クラスの選手2人分の働きをしていることになります。NPBではおさまらず、メジャーリーガー並の打撃をしていますね。いやほんとに凄すぎます。

丸は年々ビルドアップしているのですが、メカニクスでも今年進化しています。下の動画で丸のへそに注目してください。投手がリリースする時点でへそは三塁側を向いているのですが、スイングが始まっていくにつれ、へその向きが投手方向に変わっていきます。この一連の動作が昨年までと比べて格段に速くなっています。専門用語を使うと、軸足股間節の内旋が昨年より速くなったという表現になります。

私はこの下の動画のホームラン好きです。インハイストレートをレフトスタンドへプルヒッティング。焦げるようなインパクト音もたまらないです。

投手 大瀬良大地

15試合 10勝4敗 98 2/3投球回 82奪三振 防御率2.55 K% 22.2 BB% 11.5 WHIP0.97 WAR1.6

前半戦の打者のMVPが丸なら、投手のMVPは大瀬良です。前半戦だけで10勝は素晴らしいです。ジョンソン・野村・薮田が離脱するなか、投手陣を支えてくれました。大瀬良は二段モーション解禁が上手く嵌まりましたね。ストレートの平均球速も昨年の144.5km/hから145.2km/hとおよそ1km/hのアップに成功。実際、投げている試合を見てストレートが良くなったなあと感じます。後半戦も1試合1試合、試合を作ってくれることを期待しています。

後半戦のキーマン

薮田和樹

後半戦のキーマンは私は薮田和樹選手だと思います。昨年のチームの勝ち頭は前半戦大きく苦しみましたが、ファームの動画を見ていると復調しているように感じます。リリース時のトップも安定していますし、腕も振れるようになっています。レギュラーシーズンも当然ですが、ポストシーズンを考えたときに薮田は絶対に必要なピースだと思います。後半戦は一試合ごとにゲームを作り、チームを勝利に導く投球を見たいです。

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