4連覇を逃した広島カープはどのポジションで戦力が下がったのか

4連覇を逃した広島カープはどこのポジションで戦力ダウンしたのか。今回それを分析していきたいと思います。

今回分析に用いる指標

今回分析に用いる指標はwRC+とUZRです。こちらの指標についてご存じの方は「カープはどのポジションで戦力が下がったのか」という本題へ進んでください。指標について馴染みがない方は私と一緒に、指標について勉強しましょう。

wRC+とは一体何か

まずwRC+ですが、端的に言うとどれだけ得点を作り出せるかをリーグ打者の標準偏差値を100にして出した数値です。100より上の数値の打者は、リーグの平均より得点を作り出せる打者。反対に100を下回る打者は、リーグの平均より得点を作り出せない打者ということになります。詳しくは以下の引用。

打席あたりの得点創出の多さを平均的な打者を100とした場合のパーセンテージで評価する指標。球場による影響(パークファクター)に対する補正を行っており、環境に対して中立的に打者の得点創出能力を評価するのに適している。wRC+が130であればリーグの平均的な打者の1.3倍の効率で得点を生産する打者であるといえる。    1.02 Essence of Baseball から引用

ちなみにどれくらい得点を作り出せるかの背景には、LWTS(Linear Weight)という考え方があります。

安打、二塁打、三塁打、本塁打、四球…それぞれがどのくらい得点期待値があるか計算し、得点期待値から導き出された得点価値を選手のパフォーマンスに当てはめます。そうして、選手がどのくらい得点を作り出せるのか算出するのです。

UZRとは何か

UZRは馴染みの方が多いでしょう。同じリーグの同じポジションの選手と比べて守備範囲、失策、併殺完成、送球による失点抑止の観点でどのくらい優れているかを表した指標です。プラスが優れており、マイナスが平均を下回っていることを表しています。

Deltaではテレビを見て、打球の位置・速度・種類を算出しているらしいですね。ちなみに捕球地点に守備シフトは考慮されていません。

UZR(Ultimate Zone Rating)とは同じ守備機会を同じ守備位置の平均的な野手が守る場合に比べてどれだけ失点を防いだかを表す守備の評価指標である。その守備位置の平均的な守備者のUZRはゼロとなり、優秀な守備者は+10や+20といった数値になる。     1.02 Essence of Baseball から引用

カープはどのポジションで戦力が下がったのか

捕手

會澤翼 121試合 418打席 打率.282 12本塁打 61打点 

磯村嘉孝 30試合 74打席 打率.286 4本塁打 16打点

直近3年間のwRC+がリーグの平均以上になっているのがカープの捕手というポジションです。今年は捕手の打席のほとんどを會澤翼選手が出場しました。wRC+も過去5年間で今年が最高の数値になりました。カープの強みを作っているポジションと言えるでしょう。

一塁手

X.バティスタ 96試合 406打席 打率.272 26本塁打 64打点

松山竜平 34試合 117打席 打率.283 1本塁打 23打点

2016年、2017年では打撃で大きな強みになっていたポジションでしたが、直近2年は大きな強みになっていません。2018年は平均と比べてむしろ弱みになっていたポジションでした。昨年と比較すると打撃は少しだけ上向きました。

UZRは5年間でマイナスが4回と、一塁の守備は平均以下になっていることが多いです。去年よりUZRの数値が改善しましたが、それでも今年もUZRはマイナスでした。

二塁手

菊池涼介 136試合 609打席 打率.261 13本塁打 48打点

カープのセカンドは過去5年間、菊池涼介が守っていたポジションです。まずwRC+から見ていきます。wRC+は2016年の125が最高で近年は減少傾向になっています。

リーグ平均wRC+と比較しても、2016年2017年は平均より上でしたが、直近2年は平均以下となっており、打撃面で強みが作り出せないポジションになっています。

UZRは過去5年間ともプラスをマークしており、守備面で大きな貢献をしているポジションになっています。

三塁手

安部友裕 74試合 237打席 打率.258 6本塁打 22打点

A.メヒア 39試合 120打席 打率.283 5本塁打 11打点

小窪哲也 42試合 102打席 打率.261 1本塁打 3打点

カープのホットコーナーはレギュラーの座を掴む選手がおらず、安部友裕・メヒア・小窪哲也の3名で打席数を分け合った形になりました。2019年のwRC+は80、UZRは-4といずれもリーグの平均から大きく下がる数値になりました。

しかし、過去5年間でwRC+がリーグの平均より上回ったのは2016年の1度しかありません。またUZRも3回マイナスのシーズンがあり、2016年と2018年は-10より下回るほど守備で足を引っ張ったポジションでした。

三塁手は慢性的な穴であり、4連覇を逃した直接的な穴ではないとみていいかもしれません。(間接的な穴ではあると思いますが)

遊撃手

田中広輔 96試合 351打席 打率.195 3本塁打 27打点

小園海斗 53試合 190打席 打率.209 4本塁打 16打点

結論から先に書くとカープが4連覇を逃した大きな原因の一つが、「遊撃手の戦力ダウン」です。直近4年間wRC+はリーグの平均かそれ以上をマークしていたポジションで、かつUZRも穴を作らなかったポジションがカープの遊撃手でした。

それはひとえに635試合連続フルイニング出場という途轍もない記録を達成した田中広輔選手の貢献に他ならないです。しかし、連続フルイニング出場をし続けた負担が身体に来ていたのでしょう。

今季の打率は.195と大きく低迷しました。6月に連続フルイニング出場が途切れると、8月には膝の手術をするなど田中選手にとっては試練の年になりました。

田中選手の代わりに出ているのが、昨年のドラフト1位である小園海斗選手。鳴り物入りでの入団とは言えまだ高卒1年目。1軍のピッチャーたちに打撃で苦しんでいます。その結果、カープのショートのwRC+は5年間で最低の42。これはリーグ平均と比べても大きく下回っている数字になりました。

左翼手

西川龍馬 78試合 257打席 打率.275 3本塁打 24打点

松山竜平 45試合 158打席 打率.269 5本塁打 21打点

長野久義 29試合 102打席 打率.253 4本塁打 11打点

西川龍馬、松山竜平、長野久義の3人で打席を分け合ったレフト。wRC+は過去5年間で最低の90でした。2018年に続いて、2年連続でリーグ平均以下の数値になっています。

レフトは打撃メインのポジションであり、リーグ平均のwRC+も125前後と高い数値になります。 エルドレッドと松山で打席を分け合っていた2016年、2017年と比べると大きく数値を落としていることが分かります。ここにパワーヒッターを置けなくなっていることも、今年優勝を逃した理由の一つであると私は考えています。

中堅手

野間峻祥 91試合 311打席 打率.254 2本塁打 15打点

西川龍馬  72試合 297打席 打率.324 13本塁打 35打点

丸佳浩の去った後のセンターの座は野間峻祥は西川龍馬の2人で競う形となりました。wRC+は2018年の183から2019年は107と大幅な減少をし、カープは大きな強みを失った形となりました。

今年のUZRはマイナスと守備面での強みもないポジションになっています。

右翼手

鈴木誠也 137試合 602打席 打率.335 28本塁打 87打点

ライトはオールスター選手の鈴木誠也が守っているポジション。鈴木誠也がライトに定着した2016年以降は、安定してwRC+は150以上を記録しています。ちなみに今季のwRC+ は、過去5年間の182でした。

今季は昨年と比べるとUZRも良く+10.6でした。打撃・守備の両面で強みを作っているポジションと言えます。

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