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地方にアリーナは必要なのか
大河前チェアマンへの反駁
松江市が市総合体育館を大改修を公表したことに対しての大河正明前チェアマンのこのツイート。
確かに体育館ではないアリーナを新設するチャンスではありましたね。企業版ふるさと納税を使い、オープンハウスアリーナに負けないエンタメ性十分なアリーナができた可能性があったと思います。行政も腹を括り切れなかった感じがします。 https://t.co/sNFFMbHg8I
— びわスポ 大河正明 『社会を変えるスポーツイノベーション』 (@mybright0922) July 5, 2023
私はこのツイートに対して反駁したいと思う。
今後人口が減少していく松江市
今、松江市の将来の推計人口予測を見ている。
これを見ると2020年約20万人だった人口が、今から37年後の2060年には約15.5万人まで減少する予測が立てられている。
出雲市や安来市、米子市、境港市を合わせた宍道湖・中海圏域でもおそらく約60万人いる現在から、40万人前後まで減少するのではないだろうか。
今アリーナを建てるということは、減価償却の耐用年数を考えて、40~50年後のこの15.5万人(宍道湖・中海圏域なら40万人)に本当に必要なアリーナなのかを考えなければならない。
負債となっている箱モノたち
2020年の東京オリンピックに向けて作られた新国立競技場が年間10億円の赤字を出しているという話は記憶に新しい。
少し古いデータだが、2002年サッカーワールドカップの舞台となった10会場で、2014年に収支がプラスになっていたのは札幌ドームわずか一つだけ。
日本経済新聞「五輪後の新国立、稼げる施設に まず大胆な決断を」より引用
その札幌ドームも、今年度から日本ハムファイターズのホーム球場ではなくなり大幅な赤字となる見込みが立てられている。
札幌市の第三セクター札幌ドームの2024年3月期決算見通しは、最終的なもうけを示す純損益が当初想定の2億9400万円の赤字から、さらに膨らむことが確実となった。
北海道新聞「<社説>札幌ドーム赤字 収支改善に一層努力を」
今、沖縄アリーナやSAGAアリーナなど全国各地でアリーナ建設のブームが来ているが、果たしてそのどれくらいが黒字経営できるのか。
減価償却費用に、毎年の維持管理費用も加わるだろう。
黒字経営できるアリーナは少ないのではないか、そんな予感がしてしまう。
レバレッジをかけたリーグ成長の危うさ
現在、Bリーグは世界第2位のリーグを目指し進んでいる。
リーグ全体の営業収入は年々増加しているし、入場者数は昨シーズンリーグ史上最多となる約320万人の来場を記録した。
リーグ全体の競技レベルも高くなっており、まさに成長していると言って良いだろう。
しかし、この成長には一つリスクが孕んでいる。
レバレッジをかけているのだ。
借金と言ってもいいだろう。
銀行から融資を引くことで大きな事業を打てるようになるが、2021-22シーズンでは赤字クラブがB1,B2で20クラブ。うち債務超過が15クラブもある。
2022-23シーズンも約4割のクラブで債務超過である見込みがされている。
リーグが成長・拡大しているうちは良いが、拡大が止まったときどうなるか。
銀行からの借金をテコに店舗を広げていった中内功氏のダイエーのように、一気に転がるリスクがある。
地方にとって本当に必要なもの
私は、島田チェアマンの「Bリーグというコンテンツを海外に売る」という考えに賛同している。
Bリーグのようなプロスポーツリーグは、外国人観光客から外貨を得るインバウンドの一つ主力事業になると考えている。
そのためのコンテンツ力を高めるためのアリーナだ、ということも認識しているつもりだ。
しかし、ゆっくりだが着実に衰退していく地方から眺めると、リーグが今後も成長していく夢を一緒に思い描けない。
地方にとって本当に必要なもの。
それは縮小とoffload(負担を取り除く)ではないだろうか。
つまり、より小さく、よりコンパクトにするのである。これは個人の生活、事業問わずだ。
これが令和の地方の生き残り戦略だと考える。
この考えからすると、ランニングコストの大きいアリーナ建設は真逆を行く戦略なのだ。
とするならば、新B1というコンテンツを海外に売るときに、人口減少速度のゆるやかな首都圏のクラブを中心で行った方がいいのではないか。
そんな風に地方からBリーグを眺めながら思うのだ。
異議なし、沖縄は例外。都会とそれ以外は違う。VIPルームとか意味不明。全国各地でのチ−ムで競うのなら、それが成立するそれなりの発想が必要だかが、それがまったく掛声だけで、成立させる気がない。遅れてるチェアマン。古い!