今季中のFA権所得が確実な丸佳宏
昨年のシーズンMVPは更に進化して戻ってきた。リーグ3連覇を目指す広島カープのチームリーダー、丸佳宏選手は8/3の時点で打率.316・本塁打22本・打点50・OPS1.144と卓越した成績を残している。平均的な選手と比べてどれだけ勝利数を上積みしたかを表す指標であるWARでも、毎年トップクラスの数値を残している。(図1)2014~17年のWARは、いずれもトップ10入り。昨年に至っては全選手のなかで、WARがナンバーワンだった。今季も8月上旬でWAR5.0を記録しており、昨シーズン並みの数値になりそうだ。
(図1)丸佳宏選手の年度別WAR
さてそんな球界トップクラスの選手が、今季中にFA権を所得する。もしFA権を行使すれば、他球団から垂涎の的になることは間違いない。今季の年棒が推定で2億1000万円なことを考えると、少なくとも4億円近い年棒にはなるはずである。果たして広島カープは丸佳宏選手を引き留められるのだろうか。今回は、このテーマを考察する。
カープの財政状況はどうなっているのか?
丸選手を引き留めるためのお金がどのくらいあるかを把握するために、まず広島カープの財政状況について調べていく。下の(図2)は、カープの年度別売上高を表している。2017年のカープの売上高は188億円だった。球団の売上高は4年連続で球団最高を更新している。
カープの売上高が球団最高を更新しつづけているのは素晴らしい。ただ16年から17年にかけての伸び率は過去3年の伸び率より下がっており、グッズ販売料や入場料中心の収益構造の限界も見え隠れしている。
(図2)カープの年度別売上高
カープの年度別当期純利益についても見ていく。当期純利益とは、当期のみの特別な損益も含んだ、営業年度の利益のことである。計算式(当期純利益=経常利益 + 特別利益 – 特別損益 – 法人税等)。5年ほど前まではおよそ2億~4億円くらいだったが、ここ4年の伸びはすさまじく、16年・17年の当期純利益は10億円を超えている(図3)。5年前よりは選手に回せる資本が増えているはずである。
(図3)カープの年度別当期純利益
次にカープの年度別日本人選手総年棒を見ていく(図4)。選手全体の総年棒はこれに外国籍選手の年棒を足した額になる。2連覇中の広島カープなので、チーム全体の年棒はかなり上がっているだろうなと思いきや意外とそうでもない。むしろ下がっており、2016年は約19億円で、2017年は約17億円だ。総年棒の過去最高は、前田健太(現ドジャース)や黒田博樹がいた2015年の約21億円だ。当期純利益の伸びなども考慮すると、2015年以上の年棒(約21億円)を払える能力があると考えていいだろう。
(図4)カープの年度別日本人選手総年棒
広島カープは丸佳宏を引き留められるか
カープの財政状況について見てきたが、今年FAとなる丸選手を引き留められるだけの体力はありそうである。丸選手が出ていくとすれば、金銭面以外になるのではないか。いくつも考えられるが、①優勝できそうなチームで戦いたい ②地元の球団で戦いたい ③より高いレベルでプレーしたい(メジャーなど)などはありそうである。
①優勝できそうなチームで戦いたい
2連覇中で、今シーズンも首位を快走している広島カープは、セリーグで一番優勝に近いチーム。なのでこの線はナシ
②地元の球団で戦いたい
丸選手は千葉県出身で、高校も千葉経済大付属を卒業している。地元に近い球団への移籍は十分に考えられる。
③より高いレベルでプレーしたい(メジャーなど)
丸選手はメジャーに移籍しても、外野手のレギュラーを取れるだけの実力がありそうだ。ポスティングや国外FAなどでメジャーリーグに挑戦することも十分ありそうだ。
最後にまとめると、広島カープは金銭面的には丸佳宏選手を引き留められることができるだろう。また想像の域をすぎないが、移籍するとしたならば地元に近い球団かMLBになるのではないだろうか。
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