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オラディポ選手、サボニス選手とボール・ジョージ選手のトレードの勝者は誰か
今回は、オラディポ選手・サボニス選手とポール・ジョージ選手とのトレードを振り返ります。
トレード当時、多くの人がポール・ジョージ選手をオラディポ選手とサボニス選手の2人だけでサンダーにトレードしたペイサーズを”swindled(詐欺された)“と評しました。
言うまでもなく、このトレードの勝者はサンダーで、敗者はペイサーズだと思われていたわけですね。
トレード当時から、ポール・ジョージ選手は平たく言うとスターでした。
2013年のMIP(最成長選手賞)受賞を皮切りに、オールスターの常連。平均20得点を超える得点力に、オールディフェンシブ・ファーストチームにも選ばれるほどのディフェンス力。
まさに、ツーウェイプレイヤーの代表格のような選手でした。
そんなポール・ジョージ選手の代わりに、ペイサーズが獲得したのがビクター・オラディポ選手とドマンタス・サボニス選手の2人でした。
当時オラディポ選手は、NBAで5年目のシーズンを迎える選手でした。
2013年1巡目全体2位で指名され期待されていたオラディポ選手でしたが、その存在感は年々薄くなるばかりでした。
事実、前年サンダーで残した成績は、67試合で平均15.9得点。
そんなオラディポ選手がボール・ジョージ選手とのトレードのパッケージのメイン。
そしてトレード後に、ペイサーズがオラディポ選手と4年8400万ドル(約92億円)の大型契約を結んだことに多くの人が過大評価だと批評しました。
地元インディアナの人々はそうではありませんでしたが。何故なら、オラディポ選手は大学時代、ペイサーズのお膝元インディアナ州のインディアナ大学に通っていながら、NCAAのスター選手だったからです。
当然、大学時代からインディアナの人気者でした。
そしてトレードのパッケージのもう一人が、 NBA1年目のシーズンが終わったばかりのドマンタス・サボニス選手でした。
2016年ドラフトで1巡目全体11位で指名されたサボニス選手でしたが、1年目の成績は81試合に出場して、平均5.9得点でした。
当時このトレードは明らかにサンダーの勝ちだろうと言われていたのですが、トレード後のオラディポ選手、サボニス選手の活躍を受け評価は徐々に変わっていくのです。
トレード後のインディアナ・ペイサーズ
まず、ポール・ジョージ選手の代わりにオラディポ選手とサボニス選手を獲得したペイサーズから見ていきます。
2017-18
2017-18シーズン、NBA全体を見渡しても一番のサプライズチームだったのがペイサーズでした。
エースが抜け、開幕前はドアマットのシーズンと目されていたペイサーズでしたが、終わってみると前年(7位)を上回るイースタン・カンファレンス5位でシーズンを終了しました。
この躍進を支えたのが、ポール・ジョージ選手の代わりにペイサーズに加入したビクター・オラディポ選手でした。
オラディポ選手はこの年、キャリアハイの平均23.1得点をマーク。また平均2.4スティールも記録し、スティール王にも輝いています。
また他にも、オラディポ選手はこの年、MIP受賞、オールディフェンシブ1stチーム選出、AS初出場など数々の賞を受賞しました。
名実ともに、オラディポ選手はペイサーズのエースになりました。
また、サボニス選手はシックスマンながら、平均11.6得点、7.7リバウンドをマークし、チームに欠かせないロールプレイヤーとして成長していきます。
2018-19
オラディポ選手は2018-19シーズンもエースとして、チームを牽引。自身、2度目となるASに選出されます。
平均得点こそ18.8得点と前年から数字を大きく下げたものの、アシスト・リバウンドはキャリアハイで、優勝を狙うチームの原動力になっていました。
しかし、2019年1月の試合中に右足大腿四頭筋の断裂という大けがを負い、1年のリハビリを余儀なくされました。
ペイサーズは前年同様イースタン・カンファレンス5位でフィニッシュ。しかし、プレーオフ1回戦で敗戦します。
一方サボニス選手は、このシーズンも成績を向上させ、平均14.1得点、9.3リバウンドをマークします。
シックスマン賞候補にもノミネートされるほどの活躍でした。
実際、この年シックスマン賞を受賞したのはクリッパーズのルー・ウィリアムズ選手
2019-20
2019-20シーズン。前年スタメンPFを務めていたサディス・ヤング選手がFAで退団し、スタメンの座に就いたサボニス選手。
サボニス選手は、シーズンが始まる前にペイサーズと4年7490万ドル(約81億円)の大型契約を結びます。
ペイントエリアでの高い得点力に加え、ペイサーズの攻撃の起点となるスクリーンプレーのスクリーナーとして多くの仕事をこなすサボニス選手は、この年ASに初選出されます。
スタッツも軒並みキャリアハイを達成し、平均18.5得点、12.4リバウンド、5アシストとチームに大きく貢献します。
またペイサーズのフランチャイズ記録となる、シーズン50回のダブルダブルをマークするなど自身としても飛躍した年になりました。
トレード後のオクラホマシティ・サンダー
今度は、ポール・ジョージ選手を獲得した後のサンダーの動きを見ていきます。
2017-18
ラッセル・ウェストブルック選手とポール・ジョージ選手のデュオで優勝を狙ったシーズンでしたが、結果はウェスタンリーグ4位に終わり、プレーオフも1回戦で敗退してしまいます。
ポール・ジョージ選手は前年から若干成績を落とし、平均21.9得点、5.7リバウンドに終わりました。
レイカーズ行きのための腰掛けに過ぎないと思われていたポール・ジョージ選手でしたが、オフにサンダーと4年1億3,700万ドルのMAX契約を結び、周囲を驚かせました。
2018-19
2018-19シーズン。再びウェストブルック選手とポール・ジョージ選手のデュオで優勝を狙ったシーズンでしたが、今度もウェスタンリーグ5位に終わり、またプレーオフ1回戦で敗退します。
しかし、ボール・ジョージ選手自体は、平均28得点、8.2リバウンド、2.2スティール(スティール王)とキャリアハイのシーズンを過ごしました。
そして、オフ。ウェストブルック選手とポール・ジョージ選手のデュオは解散され、ジョージ選手はクリッパーズにトレードで移籍します。
と、ここまで見るとペイサーズの勝利に見えるのですが、ここからがまた面白いところなんです。
ポール・ジョージ選手との代わりに、サンダーに来たダニーロ・ガリナリ選手、シェイ ギリアス・アレクサンダー選手が2019-20シーズンに爆発するのです。
2019-20
シーズンが始まる前は、ウェストブルック選手とポール・ジョージ選手が抜け 最下位争いだと予想されていたサンダーでしたが、前年同様ウェスタンリーグ5位と躍進しています。
その中心がウェストブルック選手のトレードで加入したクリス・ポール選手、そしてポール・ジョージ選手とのトレードで加入したアレクサンダー選手とダニーロ・ガリナリ選手の3人です。
NBA2年目のシーズンを迎えるアレクサンダー選手はここまでキャリアハイの平均19.3得点、6.1リバウンドをマークしています。
またベテランPFのダニーロ・ガリナリ選手もここまで平均19.2得点、5.5リバウンドをマークしています。
ガリナリ選手は特に3P%が40.9%と高く、ストレッチ4としてチームに大きく貢献しています。
またアレキサンダー選手、ガリナリ選手の他にも1巡目指名権を複数獲得しており、サンダーの今後にとって有益なトレードであったことは間違いないでしょう。
まとめ
サンダーとペイサーズ。どちらがこのトレードで勝ったのか。
このトレードだけで考えると、オールスター選手を2人獲得したペイサーズということになります。
しかし、その後のポール・ジョージ選手で、アレキサンダー選手とガリナリ選手、複数のドラフト1巡目指名権を獲得したサンダーの手腕は見事だと思います。
アレキサンダー選手はまだルーキースケールでサラリーも安く、ガリナリ選手は1年2260万ドルと高額ですが、契約期間が1年しか残っておらず、ロースター再編も柔軟に行える仕様になっています。
何より複数の1巡目指名権をもっており、将来のチーム再建を有利に進めることができます。
ですので、サンダーとペイサーズの間でのトレードはペイサーズが勝者であるのですが、トレード後のサンダーの立ち回りは素晴らしかったというのが私の結論です。
おわり
参考文献
Wikipedia – Victor Oladipo (2020年3月23日閲覧)
Wikipedia – Domantas Sabonis (2020年3月23日閲覧)
How Victor Oladipo went from Paul George trade punchline to possible Pacers All-Star (2020年3月23日閲覧)
Pacers Newcomers Prove There’s Power in Freedom
Who won the Victor Oladipo-Paul George trade between the Thunder and Pacers? (2020年3月23日閲覧)
Reports: Paul George traded to Clippers (2020年3月23日閲覧)