決算資料から読み解く、島根スサノオマジックの経営状況【2018-19】
こないだ、最新年度(2018年度)のクラブ決算概要が出ましたね。
このクラブ決算概要には、B1、B2の全てのクラブの決算概要が載っています。当然、島根スサノオマジックの決算概要もここに載っています。
ということで、この決算概要から島根スサノオマジックの経営状況を見ていこうと思います!
営業収入
まずは、営業収入から。
営業収入とは、入場料収入やスポンサー収入、物販収入などの営業活動によって生み出した収益です。
下の図は、島根スサノオマジックの過去3年間の営業収入の推移とB1リーグ平均との比較です。
2018-19シーズンの島根スサノオマジックの営業収入は、3年間で過去最高の約4億5,000万円した。
営業収入が順調に伸びているのは、素晴らしいです。
B1の平均営業収入も伸びており、Bリーグで全体で市場の規模が大きくなっていることが読み取れます。
B1平均と比べると、島根の営業収入はまだまだ平均以下であることがわかります。
では、B1平均と島根の営業収入では実際どこでここまで差がついているのでしょうか。
それを比較した図が下の図2です。これは2018-19シーズンの島根とB1平均の営業収入の内訳を比較したものです。
1番差が大きいのがスポンサー収入、次に入場料収入の順になっています。
島根は大きい企業が少ないですもんね。
注意していただきたいのは、これは2018年度の営業収入なので、バンダイナムコエンターテイメントが島根スサノオマジックの親会社になる前の決算情報ということです。
今季(2019-20シーズン)の決算概要は、2020年12月ごろに発表されるので、どのようになっているか楽しみですね。
営業費用
次に営業費用を見ていきます。
営業費用とは、試合関連経費や選手の年棒、運営経費、グッズ販売経費など営業活動や商品を売るためにかかる費用のことです。
下の図3は、島根スサノオマジックの過去3年間の営業費用の推移です。
過去3年間で一番営業費用が高かったのは、B1シーズンに上がった2017-18シーズンで約5億2,000万円でした。
B2に降格した昨シーズンは、試合関連経費が落ちて約4億8,000万円でした。
2016-17、2017-18の2シーズンは、B1リーグ平均と比べてもそこまで大きな差はなく、2018-19シーズンに1億円以上の差が開いたことになりました。
お気づきの方もおられると思いますが、入ってくるお金(営業収入)はB1平均と大きな差があったのに、出ていくお金(営業費用)はB1平均とそこまで差がないということは、赤字ということになります。
それでは、本業で稼いだ利益である営業利益についてみていきましょう。
営業利益
営業利益とは、本業で稼いだ利益のことを言います。
会計的なことを言うと、売上高から売上原価と販売費および一般管理費を差し引いたものが営業利益になります。
下の図4は、過去3シーズンの島根スサノオマジックの営業利益の推移になります。
過去3シーズンとも営業利益はマイナスになっており、本業での利益は出ていないことになります。
3シーズン連続で本業で利益を出していないのは、事業としてどうなのというのは思いますね。
だからこそ、それまで島根スサノオマジックを運営していた山陰スポーツネットワークはバンダイナムコエンターテイメントに株を売却したのだろうとは思うのですが。
過去2シーズンと比べて、2018-19シーズンの営業利益の赤字は約300万円と3シーズンの中では一番少なくなっているのが救いですね。
経常利益
営業利益よりも大事な経常利益。
「経常(けいつね)」とも言われるこの経常利益は、本業と本業外で獲得した利益のことを指しています。
この利益が黒字なら、企業は、営業活動、財務活動、投資活動にかかわるあらゆる費用を控除しても、経常的に利益が残るということを意味しています。
それでは、島根スサノオマジックの過去3年間の経常利益の推移を見ていきましょう。
昨シーズン(2018-19)の経常利益は、約440万円の黒字でした。
黒字はBリーグになってから初めてのことで、本当に良かったです。
とは言え、過去2シーズンの経常利益は赤字。特に2017-18シーズンは約1億円の赤字なので、これだけ見ると楽観視はできないです。
経常利益が安定して出せるような会社になってほしいですね。
過去2シーズンの赤字は、繰越欠損金としてバンダイナムコエンターテイメントが扱うのかなーと予想します。
バンダイナムコの資本力があれば、島根の赤字分くらいはすぐ補填できると思いますが、こうすることで節税できれば、その分事業資金として使えるので。
*あくまで予想です。
当期純利益
最後に当期純利益です。
当期純利益は、法人税など税金を払った後に最後に残る利益のことです。
昨シーズンは初めて当期純利益が黒字になりました。
当期純利益はそこまで重要ではないのですが、黒字はやっぱり良いですね。
まとめ
まとめです。
①営業収入は右肩上がり ◎
②昨シーズン、初めて経常利益が黒字になった。ただし、まだ楽観視できない。
③親会社がバンダイナムコエンターテイメントに変わった今シーズンの決算がどのように変わるか楽しみ
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